教育ローンとは、一言でいえば子どもの教育費を補うために保護者が借りるローンのことです。
教育ローンは、以下のような組織が融資をおこなっています。
- 国(日本政策金融公庫)
- 銀行
- 信用金庫
- 信販会社 など…
教育ローンはどのように借りて、どう返済すれば良いのでしょうか。また、教育ローンと混同しがちなサービスに奨学金がありますが、これらはどこが異なるのでしょうか。
こちらの記事では、そんな教育ローンの気になる疑問をわかりやすく解説していきます。
目次
教育ローンは大きく分けて国と民間の2種類
教育ローンは、大きく分けると国(日本政策金融公庫)が主体のもの、銀行、ノンバンクなど民間が主体のものの2種類に大別されます。
提供元が国か、民間かによって、教育ローンの内容もこのように異なります。
提供元 | 国の教育ローン | 民間の教育ローン |
---|---|---|
金利 | 低め | 高め |
返済期間 | 在学中は利息のみ返済 | 借りた翌月から返済が多い |
申し込み条件 | 年収制限あり | 特になし |
審査基準 | 厳しい(最短でも10営業日かかる) | 国よりは甘い |
借入限度額 | 350万円 | 最大500万円程度 |
ローン選びで最も気になる金利は、国の教育ローンのほうが低めに設定されています。
相場としては、国の教育ローンの金利が2%、民間は銀行系が3~5%、信販系が5~10%となっています。
また、在学中は利息のみの返済も可能だったりと、利用者の負担を考えると断然、国の教育ローンがおすすめのようです。
ただ、国の教育ローンは審査が厳しく、申し込めば必ず通過とはいかないのがデメリットですね。
一般的なのは国の教育ローン!日本政策金融公庫ってどんな機関?
上記の2種類がある教育ローンですが、日本政策金融公庫が提供する国の教育ローンを利用するのが一般的です。
日本政策金融公庫(日本公庫)は、2008年に設立された期間で、今までさまざまな政府系金融機関がおこなっていた業務を一手に引き受けています。
国の教育ローンは、学費以外にも以下のような使い道で利用できます。
- 受験にかかる費用(受験料、受験会場までの交通費など)
- 進学で一人暮らしをする費用(新居の敷金、賃料など)
- その他諸費用(教材費、通学時用、設備費など)
国の教育ローンの申し込み条件
国の教育ローンは、世帯別に以下の年収基準を設けています。
子どもの人数 | 給与所得者 | 事業所得者 |
---|---|---|
1人 | 790万円以下 | 590万円以下 |
2人 | 890万円以下 | 680万円以下 |
3人 | 990万円以下 | 770万円以下 |
定められた金額以上の収入がある場合は、ローンを貸さなくても自力で費用の支払いが可能と見なされ、融資がおりません。
ただ例外として、以下の10項目のうちいずれかに当てはまる場合は、世帯年収990万円以下、所得770万円以下の方まで教育ローン借り入れが可能になります。
- 勤続年数3年未満
- 現在の家の居住年数が1年未満
- 世帯の中に、自宅外通学者(予定の者も含む)がいる
- 申込者か、配偶者が単身赴任
- 目的が海外留学費
- 借入額が年収の3割を超える
- 学生(子ども)全員の在学費用が世帯収入の3割を超える
- 学生(子ども)全員の在学費用+住宅ローンが世帯収入の4割を超える
- 親族に要介護・要支援の者がいて、介護費用を負担している
- 親族が医療費の公的助成制度を利用しており、その費用を負担している
教育ローンと奨学金との違いは?
教育ローン | 奨学金 | |
---|---|---|
申込者(返済者) | 保護者 | 生徒本人 |
借り方 | 一括振込 | 月ごとに振込 |
利息 | 借りた翌日から発生 | 卒業後に発生 |
返済開始 | 借りた翌月から | 卒業後から |
上が、教育ローンと奨学金の大きな違いをまとめたものです。
何より大きな違いは、教育ローンが保護者を対象にした融資なのに対し、奨学金は学生本人を対象にした融資ということです。
また、利息の発生・返済の開始は教育ローンは借り入れ後すぐなのに対し、奨学金は原則卒業してからとなります。
教育ローンと奨学金は併用するのが理想的
どちらの制度でも十分なお金は借りられるのですが、返済の負担がかかるタイミング・対象が、教育ローンと奨学金では大きく異なります。
親心としては、子どもの学費は親の負担(教育ローン)で全て補ってあげたいですが、私立など、学費の高い学校ではそうはいきません。
そこで、例えば学費の7割は教育ローンで負担し、残りの3割は奨学金で補うというように、リスクを分散させるのが理想的です。
こうすることで無理なく借入ができますし、卒業後の子どもを支援する余力も残すことができます。
教育ローンの申し込みに必要な書類
教育ローンの申し込みに必要な書類は、申し込む目的が以下2通りのどちらかによって異なります。
- 入学資金(入学金・受験料など、入学前にかかる費用)
- 在学資金(入学後にかかる費用)
ただ、どちらの目的としても、以下の書類は共通して提出が必要となります。
書類 | 入手方法 | 提出方法 |
---|---|---|
借入申込書 | 教育ローンコールセンターへ請求 |
|
①住民票の写し ②住民票記載事項証明書 |
市区町村役場で申請(一部、コンビニのマルチコピー機から交付を受け取れる地域あり) | ①②のいずれかを提出
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①運転免許証 ②パスポート |
普段利用しているもののコピーで可 | ①②のいずれかを提出
|
①源泉徴収票 ②確定申告書の控え |
会社・国税庁から送付された直近分を用意 | ①②のいずれかを提出
連帯保証人をたてる場合、本人の他に保証人の源泉徴収票か確定申告書の控えも提出 |
預金通帳 | 最近6ヶ月分以上の履歴が記録されており、かつ住宅ローン(または家賃)と公共料金両方の支払い状況が確認できるものを用意 |
|
ここからは、ケースごとに必要な書類を紹介していきます。
入学資金目的の場合は合格証明が必要
入学資金目的の教育ローン申し込みは、上記の書類とは別に、学校からの合格通知書か入学許可証の提出が必要です。
合格前の申し込みなら提出の必要はありませんが、申し込み審査が通り、契約をする段階までには提出しなければいけません。
現在はネットで合格発表する学校も多く、こちらが申請しなければ早期に証明書類が手に入らないケースもあります。
いつまでに書類を入手できるのかは、受験前後に事前確認しておくと良いでしょう。
在学資金目的の場合は在学確認書類と用途証明が必要
在学資金の融資を受ける場合は、学生証のコピーを提出する必要があります。
ただ、「在学資金」といってもさまざまな言い訳ができるので、用途を証明する必要もあります。
おすすめなのは、学生証コピーと共に学校パンフレットを提出する方法です。
パンフレットに費用の内訳が設備費:10万円、教材費:2万円などと書いてあれば、申し込み時に「設備費分の借入をおこなうため、10万円の融資を希望」というように、わかりやすい理由を立てやすく、審査にも通りやすくなりますよ!
教育ローンの申請は合格発表前に済ませてしまおう!
教育ローンには審査があり、誰でも通るわけではありません。
特に3、4月は申し込みが殺到し、審査日数が長引きがちです。特に国の教育ローンはこのタイミングで申し込みをすると、結果通知まで1か月近くかかってしまうこともあります。
ただ、教育ローンの契約には合格通知か入学証の提出が必要なので、あまりに早い時期に申し込むこともできません。
おすすめは、学校の試験を受ける前の受験料を支払う段階で、ローンの申請も済ませてしまうことです。
こうすることで、合格と同時にスムーズな借り入れができるので、経済的に助かりますよ。
教育ローン以外にもお金を借りる方法は多数!さまざまな選択肢を考慮しよう
子どもの教育費を借りる最適な方法は、必ずしも教育ローンなわけではありません。
上の記事にはお金を借りる方法が多数掲載されていますが、借入希望者の状況によっては、この中に教育ローンよりも適切な方法があるケースもあります。
また、お金を借りれば、当然利息込みで返済しなければいけないので、下の記事で紹介されているように短期アルバイトやフリマアプリなどを使ってお金を稼ぐほうがリスクは少ないです。
さまざまな方法を調べ、メリット・デメリットを知った上で適切な方法を選びましょう!